抗炎症

一過性で治まる炎症(急性炎症)とは異なり、弱い炎症が長期にわたって続く自覚のない炎症を「慢性炎症」と呼びます。慢性炎症は、がんや生活習慣病等、様々な疾患の要因であると言われています。
炎症に対するアサイゲルマニウムの作用を研究しました。

炎症を引き起こすシグナルを抑制

免疫細胞の一種であるマクロファージ※1は、ATP※2やLPS※3などの物質を感知すると、炎症を引き起こす「炎症性サイトカイン」(IL-1β)を分泌します。

  • ※1 マクロファージ:生体内の異物(細菌、ウイルス、死細胞など)を貪食する役割を持つ免疫細胞
  • ※2 ATP:細胞内にあるエネルギー分子で、ダメージを受けて細胞外に漏れ出ると痛みのシグナルとして働く
  • ※3 LPS:「リポ多糖」と呼ばれ、大腸菌やサルモネラ菌などのグラム陰性菌の細胞壁を構成する成分。マクロファージを活性化する働きがあることが知られている。
方法

シャーレ中のマクロファージにATPやLPSを加え、そこにさらにアサイゲルマニウムを添加し、マクロファージが分泌するIL-1βの量を調べました。

結果

ATP、LPSで刺激したマクロファージは、IL-1βを多量に分泌します。しかし、アサイゲルマニウムを添加すると、IL-1βの分泌量が少なくなることが分かりました。

出典:第84回日本インターフェロン・サイトカイン学会発表(2019)

ラットの関節リウマチモデルに対する作用

慢性炎症が原因とされる代表的な疾患として「関節リウマチ」があります。関節を覆う滑膜が炎症を起こした際、さらに炎症を誘導する物質がつくられ、免疫細胞が軟骨組織や関節を攻撃することで、腫れや痛みが生じます。この状態が長期間にわたり続いてしまうと、靭帯や骨にも影響を及ぼし、痛みを伴いながら変形してしまいます。

方法

ラットの足に炎症を起こす物質を投与し、炎症を誘発させました。このラットにアサイゲルマニウムを1日に100 mg/kg飲ませ、X線解析で関節の状態を観察しました。

結果

炎症を引き起こしたラット(①および②)の足関節において、①では、骨の変形、関節の固着、指の変形が見られます。一方で、アサイゲルマニウムを与えた②では、③の正常時に近い状態が維持されています。

出典:東北薬科大学研究年報、30:1983